「CRPS」という病名は、専門医でないとなかなか見抜けないものであり、ご本人いわく「ナイフで腕をえぐり取られるような痛さ」が常時続いているような状態で(周りから見てもそのお辛さは本当にお気の毒でした。)にもかかわらず、受診する病院がことごとく無理解のため、適切な治療を行ってもらえていない様子で、最終的に行き着いた病院でようやく病名が判明したということでした。そして、保険会社から示談案の提示があり、それでは納得できないとして、私のところにご相談に来られました。
後遺症は7級相当と認定されており、保険会社はそれを前提に約3000万円の支払を提示しておりました。
しかし、ご本人の症状をお聞きすると、5級相当ではないかと判断し、自賠責に異議申立を行いましたが、自賠責からはやはり7級相当であるとの判断が下されました。
それでも、ご依頼者も私もあきらめきれませんでしたので、今度は5級相当であると主張し、裁判を起こしました。
裁判では、ご依頼者の症状がどのような状態にあるのか、その原因が何かが主として争われました。保険会社側の医師からCRPSに対する無理解が原因なのかは不明ですが、ご依頼者の心理的な問題が原因であるかのような(医学的には何ら根拠のない許し難い)意見も出されてきました。幸いにも、ご依頼者の主治医の先生が非常に協力的であり、何度もお付き合いいただき、医学的な見解を丁寧にご説明いただいたため、裁判もこちらに有利に勧めていくことができました。
結局、裁判所は、6級相当であるとの判断の下、4200万円(前述の保険会社の提案後に、自賠責保険から約1000万円程を既に取得しておりましたので、これを合わせると約5200万円ですので提示額より2200万円程増額したこととなります。)で和解することとなりました。
ご依頼者は常時続く激痛に耐えながら本当にがんばって裁判に付き合ってくれましたし、主治医の先生も本当によく協力していただきました。依頼者、医師そして弁護士が三位一体となって戦った裁判として非常に印象に残っています。
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