福岡の弁護士法人 山田総合法律事務所

Q.15

加害者が未成年者であるとき、未成年者やその親に対して、責任追及できるのでしょうか?

できます。

1 損害賠償を求めるには、加害者に「責任能力」が必要ですが、責任能力の有無は、概ね12歳程度の理解力が目安とされています。バイクは16歳から、車は18歳から運転免許証が取得できますので、この年齢であれば責任能力が問題となることはほとんどありません。これに対して、小学生が自転車で事故を起こした場合等は責任能力がないとされる可能性はあるでしょう。

ただし、実際の支払能力があるかどうかはよく問題となります。そこで、その場合には親への賠償請求や保険対応の有無を検討することになります。

2 次に親への賠償請求ですが、民法上、加害者である未成年者に責任能力がない場合に、親が監督義務を怠った場合には親に監督義務違反としての責任が認められます(民法714条)が、前述のとおり、責任能力がない場合とは、未成年の中でも小学校高学年以下の場合であることから、通常その年齢を上回ると思われる自動車を運転した少年の親に対して、民法714条の監督義務者としての責任を追及するのは難しいかもしれません。ただし、親が未成年者の無免許運転を知りながら注意もせずに放置していたような場合には、親独自の過失を問題として親に対する損害賠償責任が認められる(民法709条)可能性もあろうかと思われます。

3 最後に保険対応の点ですが、自動車損害賠償保障法(自賠法)は、運転者だけでなく運行供用者にも賠償責任を認めています。

したがって、加害者が未成年の場合であっても親が運行供用者にあたる場合には、親に対して損害賠償を請求することができます。

そこで、どのような場合に「運行供用者」といえるかですが、加害車両が親の所有名義である場合や親も通常加害車両を使用しているような場合は勿論、加害車両が子ども名義で、かつ子どもが使用している場合であっても、親が自動車の購入費を支出した場合や、ガソリン代を支出したり、保険料や車検費用などの維持管理費を支出する等加害車両の運行を事実上支配・管理することができる立場にある場合には「運行供用者」にあたるとされています。そのような場合には、親の自賠責保険にて賠償をしてもらえる可能性があるでしょう。