福岡の弁護士法人 山田総合法律事務所

1 誰に相談するか

(1) 交通事故の被害に遭ったときは、できるだけ早期に弁護士に相談することをお勧めいたします。
よくネットやチラシで見かけるのに、行政書士が交通事故の専門家であると宣伝していることが多々あります。
実際、行政書士も交通事故の相談業務を行っている場合がありますが、行政書士は書類の作成を代行することはできますが、被害者に代わって保険会社と交渉することや損害賠償の請求を行うことは、弁護士法という法律で、法的にはできません(ただし、これを無視して交渉をしているような方もいるようですが)。
行政書士に相談しても、結局、被害者自らが保険会社と交渉しなければなりませんが、交通事故に精通した保険会社の担当者と交渉することは非常に難しいことです。

(2) 次に、どのような弁護士に相談すればよいでしょうか。
交通事故案件多数の弁護士
まず、なにより実際に多くの交通事故案件を取り扱っている弁護士にご相談することをお勧めします。
交通事故案件には、交通事故特有の知識が必要な場面が多く、誰に請求できるのか、何を請求できるのか、いくら請求できるのかを適正に判断するには、交通事故案件の実際の経験が大切です。
よく経験の浅い弁護士があたかも「交通事故の専門」のように宣伝しているケースをよく見ますが、弁護士のキャリアがどれくらいなのか、そのうち交通事故案件を取り扱うようになって何年くらいのキャリアがあるのか等をきちんと確認してから依頼されることをお勧めします。
地元の弁護士
次に、できれば地元の弁護士(もしくは対応可能地域の弁護士)にご相談することをお勧めします。
詳しくは「地元の弁護士に頼む意味」で説明しますが、主治医との面談や事故現場の確認などは、地元の弁護士でないと難しい場合が多いからです。
また、地元の弁護士であれば、いつでも顔を見て相談できますから、被害者の方にとっても安心できることが多いと思いますよ。
ちなみに当事務所は福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、山口県で対応可能です。
親切丁寧な弁護士
最後に、当然のことながら、親身に丁寧な対応をしてくれる弁護士に相談しましょう。
交通事故の相談に関していえば、「治療が終わってから相談に来てください。」「後遺障害の認定が出たら相談に来てください。」というような対応は適切な対応とは言えないのが通常です。
交通事故に遭った場合、治療中の保険会社との対応に悩むことは多々ありますし、適正な後遺障害の認定をとるためには、弁護士が認定手続きに関与する必要があるからです。

2 いつ相談するか

(1) できるだけ早く相談することが望ましいです。
事故直後の早期の段階から弁護士に相談・依頼することによって、その後の交通事故賠償問題の解決を、より有利に進めることができるからです。また、精神的にも安心できるからです。
ケガの状態等によって被害者ご自身では弁護士事務所を訪問できない場合であっても、交通事故相談ダイヤルであればご負担は少ないし、またご家族が代わりに弁護士事務所に相談にみえることも少なくありません。
例えば、後遺障害等級の認定が下りてから弁護士に相談される方も多いのですが、実は、後遺障害等級の認定を受けるもっと前の早期の段階で相談することにより、そのアドバイスの結果、適正な後遺障害の等級認定を獲得できる場合も少なくありません。結果的に早期に相談・依頼した方が、賠償金額が増加する場合が多くなります。
もちろん、弁護士費用が気になるかもしれませんが、被害者(又は同居の家族)の加入されている任意保険に、弁護士費用担保特約をつけられている方については、通常300万円までの範囲内では弁護士費用が実質無料になりますので、費用倒れのリスクはありません。それゆえ、ぜひ弁護士費用特約を付けているかをご確認されてください。
特に、重症案件(入院された方、後遺障害が生じる可能性が高い方)については、弁護士費用特約がなくても、費用倒れのリスクが少ないので、すぐにでも相談・依頼しましょう。
相談を先延ばしすれば、本来得られるべき適正な賠償金を得られない可能性もありますので、ご注意ください。

(2) その他の相談のタイミング
出来るだけ早く相談することが望ましいのですが、相談のタイミングとしては、以下のタイミングが考えられます。
○ 相手方任意保険会社から、「治療期間が長くなってきています」「後遺症の認定を受けてください」などと治療の中止を案に求められたとき
○ 相手方任意保険会社が、治療費や休業補償の支払いを打ち切ったとき
○ 後遺症が残りそうなとき
○ 後遺障害の認定結果の不満があるとき
○ 相手方保険会社から示談額の提示を受けたとき

3 どんなときに相談するか

交通事故の被害者になった場合、加害者が任意保険に加入しているならば、保険会社との交渉になります。この交渉は、被害者本人が行うことも可能です。では、なぜ弁護士に相談、依頼すべきなのでしょうか?

(1) 通常、保険会社の提示が正当といえない場合が多く、弁護士に依頼することで補償額の増額が図れるケースが圧倒的に多いことがあげられます(交通事故におけるダブルスタンダード)。
交通事故で怪我をさせてしまったときのための保険として、自賠責保険と任意保険とがあります。
自賠責保険というのは、必要最低限の損害をカバーする強制保険です(傷害の場合は上限120万、死亡の場合は3000万、後遺症認定された場合は1級から14級の各等級に応じて4000万(1級)~75万(14級))。
任意保険とは、法律上相当と認められる損害を全てカバーするものです(原則として上限はありません)。
従って、任意保険会社は、本来裁判所が相当と認めるであろう損害を全て支払う必要があります。
裁判所がどのような損害をどの程度認めるかは、ケースバイケースですが、怪我の程度、治療期間、後遺障害の有無・程度等に応じて、ある程度の基準を定めています。任意保険会社が裁判所の基準に従って示談の提示をしてくれれば何も問題はありません。
しかし、現実には、保険会社は、示談額の提示として裁判所の基準を大きく下回る損害賠償額を提示されることが少なくありません。場合によっては、保険会社は、最低限の賠償であるはずの自賠責保険の基準に近い金額を提示してくるケースすらあります。
こういう事実を、専門家でない一般の方は、保険会社の提示が果たして適正かどうかは全く分かりません。
加害者の保険会社から損害賠償額の提示を受けたら、まず、その金額が相当なのか弁護士にご相談下さい。
相談の結果、裁判所の基準との差が大きいようであれば、弁護士に相談して交渉等を依頼するべきです。弁護士に依頼することで、通常示談金額の増額が図れます。

(2) 重い後遺障害が残る被害を受けた場合
交通事故により重い後遺障害が残る場合には、弁護士に依頼をしていただく必要性が極めて高くなります。
なぜなら、受けられる賠償額が、弁護士が介入した場合とそうでない場合で、大きな差があり、弁護士費用を差し引いても、弁護士に依頼をした方が経済的に得であることが多いばかりか、保険会社との交渉を弁護士に任せることによって、精神的負担も軽減できるからです。
交通事故によって体に障害が残ることを後遺障害といい、後遺障害の程度に応じて1級から14級まで分類されます。後遺障害の認定を受けた場合、等級に応じて、後遺障害慰謝料逸失利益が支払われます。
後遺障害慰謝料だけを取り上げてみた場合でも、弁護士が介入していないケースでは、保険会社は、自賠責基準かそれに若干の上乗せをした額で提示してくるケースがほとんどで、弁護士基準で提案してくるケースを見たことは残念ながらありません。
これ以外にも、逸失利益の算出において不利に扱われていたり、将来の介護費用や家屋改造費等で十分な賠償を得られないケースが多数存在します。さまざまな要因(過失相殺、素因減額等)によるので一概には言えませんが、12級以上の後遺障害があるケースでは、ほとんどのケースで弁護士に依頼していただいたほうが、賠償額を多く得られることになり、その差が数百万円単位にとどまらず数千万円となることもあります。この傾向は、後遺障害が重ければ重いほど顕著になります。重い後遺障害が予想される方は、早めに必ず弁護士にご相談ください。

(3) 死亡事故の場合
交通事故によりご家族を亡くされた場合、相続人の方が保険会社から賠償を受けます。
しかし、上記と同じく、保険会社の提示する賠償額は、弁護士が介入した場合に得られる賠償額と大きくかけ離れる場合が多いのです。
慰謝料のみを取り上げてみても、保険会社は、自賠責基準かそれに若干上乗せをした額の提示にとどまり、弁護士基準には及ばないことが多いのです。
また、死亡事故の場合に、特に注意すべきこととして過失相殺があります。特に即死の事例などでは、実際に被害に遭われた方の言い分が聞けません。目撃者がいればいいのですが、目撃者がいない事例だと加害者の一方的な主張に基づいて事故処理がなされ、それに基づき過失割合が決められることが多々あり、被害者に不当な減額を求める例が後を絶ちません。
何より、親族を亡くした悲しみの中で、保険会社との示談交渉は心を痛めることが多いのです。被害者の遺族は、ご家族を亡くされた悲しみとともに、加害者及びその保険会社の誠意に欠ける対応によって二重の苦しみを受けるケースも少なくありません。
弁護士に依頼することによって、被害者の代理人として相談をすることで、交通事故の賠償問題を遺族だけで対応しなければならない精神的な不安やプレッシャーから解消されるとともに、保険会社からの低い提示に対して、被害者側の弁護士が真摯に対応することで適正な補償を得られることになります。

(4) 弁護士費用特約に加入されている方
弁護士に依頼するときに、一番心配なのが、弁護士費用の負担の問題だと思います。
しかし、現在は、本人やご家族が自動車に乗っていて、任意保険に加入している場合は、弁護士費用特約という特約が付いている場合が多いです。この弁護士費用特約についていれば、原則上限300万円まではこの保険ででることから、自己負担なく弁護士をつけられるケースが殆どです。
まずは、ご自身やご家族の加入している任意保険に弁護士費用特約が付いていないか確認してください。加入していれば、弁護士費用を保険会社が負担してくれるので弁護士費用の心配なく弁護士に依頼出来ます。
また、弁護士費用特約に加入されていなかった場合でも、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。当事務所では、その場合でも初回相談は無料で行っておりますので、ご心配されずに遠慮なくご相談ください。
死亡事故や、重篤な後遺障害が残る深刻な被害者については、弁護士費用がすぐに用意できなくても、当初の着手金は殆ど負担なしで、任意保険会社からの補償額が入金された解決時の成功報酬のみで対応するなど、弁護士費用についても被害者の立場にたって柔軟に対応を致します。
(5) その他
上記の(2)~(4)の方(後遺障害12級以上の方、親族を亡くされた方、弁護士費用特約に加入されている方)は、弁護士に依頼する必要性が極めて高い方です。
そうでなくても、後遺障害14級の方、後遺障害非該当であるけれど長期に通院をされた方は、弁護士依頼をする経済的メリットが大きい方もいらっしゃいます。
まずは、弁護士に依頼した方がより経済的利益が得られるかどうかをご相談ください。

4 相手方保険会社への対応

(1) 保険会社の立場
交通事故の被害に遭った場合、多くの被害者の方は、加害者の加入している任意保険会社の担当者と、治療期間や損害賠償の額について話をすることになります。
保険会社(担当者)の対応は様々ですが、保険会社にとっては、保険金(損害賠償金)の支払いを少なくする方がメリットであることは間違いありません。
被害に遭われた方は、適切な賠償を受けたいと考えている立場ですから、保険会社と被害者の利益は相反するものと考えてよいでしょう。
ところが、現実には、保険会社の担当者から言われるがまま治療を終わらせる方や、提案されたとおりの金額で示談してしまう方がたくさんいらっしゃいます。
治療の終了時期を決めるのは主治医であって保険会社ではありません。
また、保険会社の提示する損害賠償金額は、ほとんどの場合、本来被害者が受け取るべき損害賠償額より低い金額になっています。
それでも、保険会社のいうとおりにしてしまうのは、保険会社はできるだけ保険金の支払いを少なくしたいと考えているのに、専門家である保険会社の人がいうのだから間違いないだろうと誤解してしまうことが原因であると思います。
このような事態をなくすためには、被害者の味方になって被害者の利益を守ってくれる弁護士に相談することをお勧めします。

(2) 保険会社への不満
交通事故の相談をお受けすると、保険会社への担当者の対応への不満を持っている方が多くいらっしゃいます。
具体的には、保険会社の担当者が治療の終了を急がせられたり、現に続いている痛みを疑われたりという場合もあります。
何の落ち度もないのに怪我をさせられたにもかかわらず、このような対応を受けることで、大きなストレスを抱えている方が多くいらっしゃいます。
保険会社の対応を弁護士に任せることにより治療に専念することができると思いますので、できるだけ早期に弁護士にご相談されることをお勧めします。